渡るまでも困難。役目を終え静かにたたずむ吊り橋。

Vol.5に続き、千葉県君津市編2本目。内房と外房の丁度中心辺りにあたる、奥米(おくごめ)地域に位置する吊り橋。その名称は「廻田(めぐた)橋」という。しかしここはまったく使われなくなった橋で「廻田橋」という名前すらも知らない我々は、割とアバウトな地図を頼りに探すのにかなり苦労した。今は使われていないだけに、見落としてしまうような位置に架かっているのだ。
そんな橋なので、上の舗装された道路から姿は確認できても、そこまで辿り着く道がうっすらとしか残ってないのである。迷いながらもこっちの方角に降りて行けば・・・とおぼしき道を下り、ぬかるみに足を取られながらやっとの思いで辿り着く。見渡すと眼下の川にはほとんど流れはなく、恐ろしくうっそうとした空気の中に、役目を終え静かにたたずむ「廻田橋」があった。何か霊的なものさえ感じてしまいそうな...そんな橋を渡るのには少し勇気がいるのだが、ここまで来て渡らないと話にならないのである。

渡り始めるとさすがに使われていないとあって入り口から3〜4歩くらいのところまでは雑草が生い茂り、土の上を歩いているのか橋の上を歩いているのかよくわからなくなる。しかし、あの独特の吊り橋の揺れは感じているので確実に橋の上を歩いているのだと実感。そんな中、ふと前方を見ると踏み板が少し欠けている、というか穴が空いている!そうなると「使われていない橋」という言葉が頭をよぎり、他の箇所も心配になるのだが、幸い高さもそれほどないので落ちても死にはしない。穴を避けつつ慎重に歩を進めて渡りきることができた。
渡りきって気づくのだがその先はというとまるで道がない。こっちかな?なんて思いつつ、かすかに残る道らしきものを上るうちに完全に道を見失う。それでもかまわず強引に進むとやっと元いた場所に戻る事が出来た。もう出てきたときには葉っぱや枝が体に付き放題である。あんまり思い出したくないが、山ビルに血を吸われたメンバー(松端)もいた。いやはや、今回は「使われていない」という吊り橋がどうゆうものなのかを思い知る取材であった。しかし、こんな場所にある吊り橋が生活に使われていた時代のことを想像すると、なんとも言えない気持ちになるのである。

渡りきった。この場所はおそらく1日中日陰であろう。この先に進む道は見つからなかった。
Vol.5 千葉黄和田畑「堂沢橋」 高くて恐くて味わい深い。田舎吊り橋
Vol.7 千葉奥米「長浦橋」