ミステリアス!?千葉の山奥、小櫃川上流、黄和田畑の吊り橋

千葉県は君津市。ここ千葉では利根川に次いで2番目に長い小櫃(おびつ)川。その上流付近に架かる「堂沢(どうざわ)橋」。最初、橋に訪れたときは橋自体には何の情報もなくいつ架けられたのかも、ましてや名前の表記もなく、名前のない橋なのかと思っていた。
この「堂沢橋」という名前は、取材後に出会った井戸端会議をする地元住民(三人のかわいい老婆)に教えて頂いた。
そんな「堂沢橋」、多少の老朽化はあるが高さもそれほどなく足場もわりと広くしっかりしているので、比較的渡りやすい。しかし、手をそえるところが金網で、ところどころ痛んでいる。貧弱な手すりなので、あまり期待しない方がいいだろう。吊り橋独特の揺れももちろんあるので、転倒しないようにバランスをとりながら慎重に渡るべし。

そして周りを見渡すと眼下に広がる小櫃川上流のせせらぎはとても穏やかで見るものを癒してくれる。水深も浅く橋を渡りきったところから降りようと思えば降りられる。時期的なものもあるだろうが私が降りたときは道があるのかないのか、山からのわき水で少しぬかるんだところを木々やクモの巣をかきわけて川までたどり着く事ができた。そこには動物のフンなどが転がっており、上から見下ろす川とはまた違った川を間近で体験できる。水に触れてみると「うわっ!」あたりまえに冷たい。
さて、吊り橋を渡って川にも降りて、さんざん堪能したのだが、じつはここ堂沢橋は、今でこそ主に林業のための橋となっているが、その昔、奥には小さな集落があったというのだ。吊り橋もさることながら、我々はその現在は廃村となってしまったという、集落の跡地も訪れた。そこにはミステリアスな空間が広がっていたのだ。吊り橋があるような所には、周辺にも楽しめるものがあるのである。

竹林の脇の坂を登ると、そこには古い苔むした墓地があった。その光景は幻想的である意味美しく、昔話の世界に迷い込んだような感覚に陥った。残念ながらここより先には進む道は無く、引き返すしかない。勿論、帰りはまた堂沢橋を渡ることになる。
Vol.4 東京奥多摩「道所橋」 高くて恐くて味わい深い。田舎吊り橋
Vol.6 千葉奥米「廻田橋」