日本のおかしな住民たち 意外と知らない?身近な生き物図鑑 #5 オナガ
アズマヒキガエル

オナガ 尾長 学名:Cyanopica cyana

関東周辺の公園などに、時々頭が黒くて身体は青みがかったグレー、そして尾っぽが長い鳥が居る。 英国紳士ように、黒い帽子に灰色のタキシードを着たようなオシャレな鳥は、実はカラスの仲間! 今回はそんなオシャレなカラス、「オナガ」を紹介しよう。

尾っぽが長いからオナガ

オナガはその名の通り、尾羽が長いのが特長。 体長は約38cm程で、キジバトなんかりも少し大きいサイズなのだが、尾羽だけで20cm以上あるので身体自体は小さくて、せいぜいムクドリくらいしかない。 この尾羽の長さが特徴ではあるものの、パッと見て目に入ってくるのは、やはりその黒い頭だ。 パッと見て「かっこいい!」と感じるものがある。

ちなみに、オナガドリと言うのも居るが、こちらは尾っぽが数メートルもあるニワトリの品種の1つで、オナガとは全く関係がないので呼び方には注意しよう。

カラスの仲間

冒頭にも触れたように、オナガはカラスの仲間。 本家本元のカラスとは大きさも色も違うのだが、黒い頭の部分だけをよ〜く見ると、確かにカラスにソックリ。 似ているのは、頭の部分の見た目だけじゃなく、カラスと同じように頭が良くて賢く、本家本元のカラスが巣の近くに近づいたときなんかは、集団攻撃で追い払ったりもするのだ。

食べっぷりもカラスにそっくり。 雑食で、昆虫や木の実、種子などの他に、小魚を取って食べたり、野鳥ファンが庭に置いたパンにも手(じゃなくてクチバシ)を出したりと、何でも食べるのだ。 ただし、カラスと違ってゴミを漁ったりはしない。 そこは英国紳士のような出で立ちに恥じない行動を心がけているかのようだ。

見た目に似合わない鳴き声

こんなシャープでカッコいいオナガだが、鳴き声はその見た目からは想像がつかない程荒っぽい。 「ギョィェーーーーーー! ギュィッ!ギュィッ!ギュィッ!ギュィッ!ギュィッ!」とか「ゲーーーーッ!ギーーーーッ!」という感じの強烈な鳴き声を出す。 鳴き声の荒っぽさもカラス譲りということか・・・。 集団でこの鳴き声を武器に天敵を追い払う。 ちょっと恐いような気もするが、黒い頭に隠れた瞳は、つぶらでとても可愛らしい。

西日本にはもう居ない。

東京などでは公園で普通に見られるオナガだが、日本国内では生息域を狭めている。 元々は本州全域と九州の一部に生息していたのだが、1970年代くらいから生息域を狭め始め、今では本州の石川県以東、神奈川県以北、長野県以東から、東北地方南部辺りまでしか居なくなってしまったようだ。 何故生息域を狭めたのかは解っていない。 一説には、同じカラスの仲間のカササギが九州で勢力を延ばしつつあるからとも言われているが、はっきりしたことは解っていないようだ。 このまま居なくなってしまったら寂しいなぁと心配しそうだが、どうやら関東周辺では数がどんどん増えているらしい。 それより、そのうち紳士の心を忘れて、ゴミを漁ったりしないか心配だ。

オナガ、いかがだろうか?
関東周辺に住んでいるなら、このオシャレなカラスを探してみよう。 彼らも日本の住民である。

記事:松端秀明 撮影:中島ルカ

日本の蛙の王様
Vol.4 アズマヒキガエル