
町中や公園で見かけるハトには主に2種類居ることをご存知だろうか?
都心でも目につくほどにみかける灰色のハトは、カワラバト(別名:ドバト)で、雑木林や神社に行くと出会えるのがキジバト(別名:ヤマバト)である。 ハトなんてどれでも同じ? いやいや、よく見ると全然違う、ワイルドで日本的で、なかなか味わい深いハトなのである。
お気づきだろうか?80円普通切手のモチーフにもキジバトが使われているのだ。

着物や日本画を思わせる和柄模様!

キジバトは、カワラバトと比べると色が濃く、パッと見は焦げ茶色に見える。サイズはカワラバトと殆ど同じだが、少し体が引き締まっている分小さく見えるかもしれない。 焦げ茶色の羽の淵が赤褐色に縁取られ、翼は鱗状の模様になっているのだが、この鱗模様がなんともなんとも言えない和のテイストを醸し出していると感じないだろうか? 更に首には青と黒の縞模様があり、これがキジバトのチャームポイントになっていて、切手のデザインにも活かされている。
そんなキジバトに対し、カワラバトは食用や伝書鳩用として人間が人工的に作った品種で、世界中に点在している。 町中ではキジバトのほうが出会う数は少ないものの、日本古来の野生のハトはキジバトなのだ。
人間なんかと仲良くしないぜ!
キジバトは単体で行動することがほとんどで、カワラバトのように、公園に大勢で群れていることはあまりない。
ワイルドで、警戒心も強く、あまり近づくとすぐに飛んで逃げてしまう。そぉ〜っと近づいても「なんだよ。来るなよ!」って感じでお尻を向けてズンズン離れて行ってしまうのだ。カワラバトはこんなとき、「餌くれ〜〜〜!」とでも言っているかのように、ズンズン近づいて来るのだが・・・。
ラブラブだぜ!

キジバトのもう一つの特徴。
それは、よく番い(つがい)で行動していることである。
電燈の上で寄り添っていたり、2羽で仲良く茂みを散歩したり・・・。そして、よく見ていると、毛繕いをし合ったり、クチバシを逢わせてまるでキスでもしているかのような行動をとることもある。
まさにラブラブのカップルである。
ただし、雄雌同色なので、どちらが彼氏でどちらが彼女かは判らない。
歌うぜ!
そして、みなさん誰しもが聞いたことのある鳴き声。よく神社や公園などから聞こえてくる。文字にしたり言葉にすると表現しにくい「でーでー、ぽっぽー♪」あるいは「ぽーぽぽっぽぽー♪」というような、妙に長くて、奇妙な音程で、まるでワンフレーズ歌っているような声、あれこそがキジバトの鳴き声である。

楽譜制作/提供:株式会社ホッタガクフ
そんな鳴き声をモチーフにした「キジバトの歌」という面白い曲がある。
アコーディオンプレイヤー長坂憲道氏がキジバトの鳴き声のメロディを元にした楽しいリズムの曲で、聴いていると餌を求めて彷徨い歩くキジバトの姿が目に浮かぶ。
「キジバトの歌」は、長坂憲道が2006年にリリースした4thアルバム「Vivid Accordion」の最後に収録されている。
長坂憲道氏にとってのキジバトは、子供の頃、母と愛犬とセットの記憶だという。


長坂憲道
音楽家・
アコーディオンプレイヤー
2002年にアコーディオンプレイヤーとしてソロデビュー。リズミカルでポップな楽曲とパーカッシヴなアコーディオン演奏が高く評価されている。
ソロ・ライブ活動をはじめ、電子アコーディオン"V-Accordion"の第一人者として日本国内だけでの活動にとどまらず、韓国やアコーディオンの本場であるイタリアなどでもグローバルに演奏活動を行っている。
キジバト、いかがだろうか?
これからは、見かけたハトが「カワラバト」か「キジバト」かを見極めてみていただきたい。
彼らも日本の住民である。
記事/撮影:松端秀明
Vol.2 トゲナナフシ