ぶんかびとレポート

初めの取材は失敗。

 5月を代表する花、藤の花を愉しみに藤まつりに行って来ました。 栃木県足利市にあるあしかがフラワーパークは、藤の花が有名です。 看板やパンフなんかも全部薄紫で統一、かなりの気合いの入れようです。

あしかがフラワーパークの看板は紫色

 私、兼ねてから藤の花には憧れがあり、取材当日はやる気満々!!! ラベンダー色の新しいワンピースを身に纏い、カメラを抱え、いざ出陣!が、今年は4月の冷え込みで例年より遅れての開花とのことで、2回も足を運ぶも、残念ながら拝むことはできずじまい。 先に開花状況を確認してから行けば良かったと反省です...。


全く咲いていません

 

まさかの大渋滞!

 当日電話確認後、くじけそうな心を何とか立て直して3回目の正直。ネバーギブアップの精神が勝利につながる!!あれ?あれ?東北道佐野藤岡インターを下りて20分あれば着いたのにどうしたのかなー??これってもしかして、フジマツリ渋滞???近づくにしたがって疑惑が確信に。。。他府県ナンバーの車がいつもは静かな農道に列をなしているのでした。

のどかな風景に似合わない大渋滞

息を呑む美しさ

 あしかがフラワーパーク自ら“世界が息を呑んだうつくしさ…”と唱っているだけあって、やはりただの藤ではないんですよ。 なんと樹齢140年!藤棚が900平方メートル!に広がる大藤や白藤のトンネル、八重黒流は栃木県指定天然記念物にも指定され非常に美しく幻想的。世界で一番美しい藤と言われる所以は実際見てみればすぐわかります。


1つ1つの房が大きい!


滝のように押し寄せる藤の花!


広い藤棚!


藤の大木!

 実は、藤は種類もいろいろで、八重黒龍は世界でも珍しく、少し遠くから見ると葡萄の房のような形に見えるので、なんとも親しみやすい感じです。薄紅藤に白藤、きばな藤など、藤の花は紫だけではないんですね。

葡萄のような八重黒龍

初めて見た黄色い藤「きばな藤」

純白の藤「白藤」

 また、藤は昔から、日本の文化の中に取り入れられているんです。花の観賞や籠などの生活用品の材料に使われてたことから、現在でも、全国各地で藤にまつわる名前やデザインを目にすることができます。人名で言うと藤原、藤井、佐藤、なんかそうですよね。全部知り合いにいるなあ…絵画や工芸、家紋なんかでもモチーフになっているのです。そういえばおばあちゃんの着物の柄がフジだったかも。古事記や万葉集、枕草子に源氏物語などにも詠まれていますしね。「藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし」そういえば高校の時暗記したっけ。私たちの身近な所にある花なのですね。意外と意識してませんでした。ゴホン。

 そんな日本人の美意識を強く感じさせてくれる藤ですが、今回残念だったのは、入園するも人、人、人...ほんとに藤の花は気高く美しい、美しすぎる。嫉妬するくらいに。ちょっと近寄りがたいけど。まさに息を呑むほどのレベルですが、なんせ人が多すぎました。今度は平日の空いてる時に行きたいですね。

人、人、人...

 それからおみやげや食事は要チェックです。特に私のおすすめは藤ソフト。食べていたお客さんが、「んっ、藤の花の味がするー!」と絶叫していたので、「この人フジの花を食べたことあるんだ??」と素直に受け取りましたが…藤の味って???白藤のトンネルを通ったらそのなぞは解けたのでした。藤の味に興味ある方はぜひチャレンジを。

 

文/写真:中谷沙耶